梅雨など、雨が降りやすい時期には、荷物が多くなってしまい、タクシーに乗車をしても必然的に忘れ物が多くなってしまいます。
雨の日は、道路状況が悪く、タクシーを利用する人も多くなるため、思っている以上に混みますし、目的地に着くまで時間がかかることがほとんどです。
そのため、目的地に到着した途端に慌てて降車して、忘れ物をしてしまう人も多くいる傾向が高いです。
朝の急いでいる時間などであれば、お客様も当然のように気が立っていて、普段だったら気にもならないようなことでもクレームに発展するケースがあります。
予期しない場面でクレームになってしまったケースをご紹介します。
勤務している会社から、忘れ物が増えてきているので、注意するよう強く促されていました。
なので、ドライバーとしてもお客様のためにきちんと忘れ物をしないように伝えなくては、と使命感を持って仕事をしていました。
あるドライバーは、お客様が忘れ物をしないように、通常であれば降車時に一度しか言わない言葉を二度、お客様に伝えました。
言葉としては「お忘れ物はありませんか?」というそれだけです。
気を使って発した言葉ではありますが、お客様としては朝の時間で急いでいる上に渋滞で到着が遅れたため、非常にイライラしている様子でした。
そんな時に、同じことを二度言われたお客様は怒り心頭。
「何回も言うな!そんなことはわかっている!」と言い、クレームに発展んしてしまいました。
ドライバーとしては、会社から「忘れ物を減らしてください」という指示のもと行った行動ではありましたが、お客様としては知らぬ話です。
目的地への到着が遅い上に何度も同じことを言われて、イライラしてしまった気持ちもわかります。
ただ、こうした気遣ったつもりがクレームになってしまった、ということはタクシードライバーの経験上「よくあること」ではあります。
クレームに発展させないためには、言葉の選び方や言い方一つで随分と印象が変わるので、そのことを意識しておくことです。
良い例として、あるタクシードライバーは目的地に着く直前に、こう言います。
「雨の日は、皆さん急いでいるようで忘れ物が増えちゃうんです。お客様も注意してくださいね」
そして、目的地に着き、支払いが終わった後に、こう言います。
「ありがとうございました。雨が降っていて、お客様が忘れ物の確認をしている間に濡れてしまっては大変なので、確認していただき次第、ドアを開けさせていただきます」
そう言われたお客様は、確認してドライバーに「大丈夫です」と声をかけて、ドアを開けてあげるのです。
念のため、ドライバーは目視でも確認しておくと良いでしょう。
こうすることによって、何度も同じことを言われた!というような認識にもなりにくいですし、心遣いをしてくれているんだなと伝わります。
クレームに発展してしまったドライバーと同じく二度お客様に確認したにも関わらず、クレームにならなかったのは、気持ちの良い接客をしたからです。
それぞれは、あくまで事例ではありますが、降車の際にお客様がドライバーをよく思うのか思わないのかが決まると言っても過言ではありません。
お客様にとって、どのようにコミュニケーションを取ることで満足してもらえるのかということを第一に考えてみましょう。