皆さんは、タクシーの営業団体には大きく2種類に分類されるのをご存知でしょうか。そう、「法人タクシー」と「個人タクシー」です。
なんだ!そんなこと知ってるよ。と思われた方、大変失礼しました。ですが、「どうやったら個人タクシーのドライバーになれるのか?」
これはご存知の方は少ないのではないでしょうか。
想像てみてください…。個人タクシーとして営業するための条件です。
浮かびましたか?
多くの方は、「個人で開業して、好きなように営業できるんでしょう?タクシー業務を長年経験すれば誰でもできるのでは。」と思われたのではないでしょうか。
強ち間違ってはおりません、大まかな内容としては的を得ております。
では、もっと細かなところはどうなっているのか、今回は掻い潜って見ましょう。
時は昭和30年代、貧しかった戦後の混乱から立ち上がり、高度経済成長期へ突入した日本。一旦は幻になった東京五輪の開催が決定し、人々も暮らしも徐々に豊かになり始めた時代。便利になっていくとともに、新たな問題が浮き彫りになります。
当時のタクシー業界はドライバーに過酷なノルマを課され、安全運転などどこ吹く風。乱暴な運転が横行し、「神風タクシー」という悪名高き名前を付けられる始末。それと同時に、失業者による無許可での旅客運転行為…いわゆる『白タク』行為も横行しました。
この問題は全国で大きな批判を浴び、当時の国会でも取り上げらる始末。今日においても未だ根強く残る『タクシードライバー職』というイメージの悪さだけが先行してしまいました…。こうした中、当時運輸大臣を務めていた楢橋渡は問題解決の糸口を切り出すべく「タクシーの個人営業」への道を開く事を決定。
昭和34年12月、我が国で初めて「個人タクシー」が誕生しました。
そしてまもなく、2回目の東京五輪を目前にした今、個人タクシーは熟練のドライバーによる、確かな運転技術のもと、「安心」「安全」「快適」の三拍子そろった個人営業旅客業として定着し、現在全国各都市に約35,000人の事業者が営業。皆さまの移動手段の一端として大きく携わっております。
★まず、どうやったらなれるのか? いきなり『個人タクシーの仕事に就きたい!』と言っても容易になれるものではございません。 以下の方法で許可が必要になります。
多少の誤差はあるものの、設備資金として80万円以上、運転資金80万円以上、その他の費用として、「車庫代」や、「保険料」などかかりますので、平均相場といたしまして一般的に総額200万円程度は必要かと思います。(関東の例)
個人タクシーには「協会組合」や「支部」等があり、こちらに関しては加入しなければいけない訳ではございませんが、申請時や事業者になってからの諸々の事務手続き全てを自分でやることになります。また、メリット面としては『チケット・クーポン・無線配車』等の営業面においても加入された方が有利です。
時間的な面も考えると、決まられた出勤時間・出庫時間・点呼・点検など、各種作業がつきものですが、個人タクシーは玄関を開ければすぐスタートできます。
好きな時に働き、好きな時に休める…とても良い響きではありますが、裏を返せば、頑張るか頑張らないかは自分次第という部分は法人タクシー以上にプレッシャーが発生するかもしれません。
個人タクシーは本当の意味での『完全歩合制』となりますので、無知で始めてしまうと、いくら時間的な自由が手に入ったとは言え、収入の幅が大きくなるケースもあります。そのリスクもあるので、営業には常に法人タクシーに所属していた時代と変わらない、いやそれ以上の心構えが必要となるかもしれません。
そういは言っても個人タクシーになるドライバーさんは「大ベテラン」の域に達しているので、「稼ぐポイント」、「稼げる時間帯』そして、長年で培ってきた人脈…すなわち「固定客」の方が多く存在しているという話も聞きます。
その証拠に平日夜、霞が関の官公庁周辺には、たくさんの「個人タクシー」が止まっているのを、首都高から見たことありませんか?
やはり、下積み時代は「種まき」が大事なのかもしれません。どんな肩書きをお持ちのお客様でも、送迎時ほんのわずかな時間は、くつろいでいただきたいものです。
・タクシー・ハイヤー事業者に運転者として雇用されていた期間が『10年以上』かつ、申請日以前3年間無事故無違反であること。
※また年齢によっても『運転経歴条件』は異なります。
▼35歳未満…
申請日前に『10年以上継続』で同一区域内のタクシー又はハイヤー事業者に雇用され、かつ無事故無違反であること。
▼35歳~39歳…
①10年以上区域内で『運転』を職業としていること。
②5年以上区域内で『タクシー又はハイヤー』を職業としていること。
③申請日前に『3年以上』区域内でハイヤー・タクシー運転を職業していること。
※但し申請日前に『10年以上無事故無違反』であれば、下記『40歳以上』の要件によることが出来る。
▼40歳~64歳…
①10年以上運転を経験。
②申請日前3年以内に『2年以上』区域内でハイヤー・タクシー運転を職業していること。
条件の中に『運転を職業としていること』と明記があり、疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。
つまり、「第二種免許」というものは、何もタクシー・ハイヤーだけではありません。
バスの運行には大型2種免許は必要となります。またトラック等の貨物輸送もれっきとした「運転業務」ですので含まれますが、年数計算は50%に換算されますのでご注意くださいませ。
▼また、以下の期間は該当しません。
1.軽自動車、二輪及び三輪の自動車、特殊自動車等を運転していた期間
2.通勤、レジャー等のために運転していた期間
3.運転業務とともに、他の業務も行ってい期間
4.運転を職業とするとともに、他の職業にも従事していた期間
5.主たる業務手段として車を運転していた期間(例:パトカーの運転、道路維持作業車の運転、セールスのための運転等)
6.会社の役員等を兼務していた期間
運転履歴を計算する方法として、企業の在籍証明書、乗務員台帳の写し、タクシーセンターの発行する運転者登録原簿の謄本(A)及び(B)、社会保険の加入を証明するものの4点にて確認します。この4点をすべてカバー出来る期間が運転経歴となります。
但し、在職証明書で入社が確認が出来ても、社会保険に未加入の期間は運転経歴として算入できません。
個人タクシーには、『法令・地理試験』があります。
申請する営業区域を管轄している地方運輸局長が実施する法令、及び地理の試験に合格することが条件になります。
基本的には各運輸局管轄の下、年1度開催となり、再試験はございません。
▼以下の場合は免除が可能!
申請する営業区域において、申請日以前継続して10年以上タクシー・ハイヤー事業者に運転者として雇用されており、、申請日以前5年間無事故無違反の方については、地理試験が免除されます。
ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、タクシー業界は『完全歩合制』という形が大半を占めており、例を出すと50%~60%がドライバーの取り分で、残り半分~40%が、企業に収める形となっております。 例えば同じ営業職でも不動産営業などは20~25%が平均という事を考えれば、この歩合率は他業種と比べると非常に多い歩率という事が言えます。 そこで個人タクシーですが、「個人」というだけあって、いよいよ本格的な「個人事業主」というところに入ってきます。 それはどういう事を意味するかと言いますと、『燃料や車メンテナンス等の諸経費は自分で全て負担』という事になってきます。 いわゆる「雇用契約」ではないので、全てご自分で賄うという部分が発生しますが、純粋に『やったらやった分だけ』全て売り上げを独占できます。 何時から~何時までというのもありませんので、長年の経験から、稼ぐ時間帯や、ポイントを集中的に狙えるのも大きいなメリットではないでしょうか。